三陸地震大津波２

前の記事の続きです。

現在の日本では地震が発生するとまず気象庁が情報を発令、各自治体等に連絡して避難勧告などを出すため、地震発生から住民に情報が伝達するまで数分のブランクが生じます。
実際には情報を受けても避難勧告を出す手順が確立されていない自治体も多いようですが。

しかし、釜石市では地震発生と同時に、気象庁を経ず市が直接避難勧告を出すシステムをとっています。
沿岸近くで津波が発生した場合、数分の遅れが取り返しのつかない惨事に直結することも多いからです。
実際、明治と昭和8年の津波は地震発生後わずか数十分で陸地を襲いました。
同じ方式をとっている自治体って他にあるのでしょうか？調べてみたのですが、ちょっと分からなかったので、もしもご存じの方がいらしたら教えてください。

釜石などの三陸沿岸部を車で走っていると、山の中や町中に石碑が建っているのをよく見かけます。
それは津波の被害にあった犠牲者の慰霊碑だったりするのです。
どう考えても海から遠く離れ、標高も数十mはあるだろうと思うのに、こんなところまで波は押し寄せたのでしょうか。

現在、釜石湾では津波防止を兼ねた世界最大水深（-63m）の湾口防波堤の建設が進められています。
普通の防波堤は波打ち際などに設置されますが、湾口防波堤は文字通り海の中、湾の入り口に作られます。
海中に作ることによって波を反射し、湾内への急激な海水の流入を抑えることで、津波の力を減衰する効果があるように設計されています。
大船渡湾（-38m）、久慈湾（-25m）にも同じ湾口防波堤が作られていますが、釜石に建設中の防波堤は世界で最も深く全長も約2kmに及びます。
ただ、これもどれほどの効果があるのかは実際に大規模津波が来てみないと分からないことでしょう。
もちろん、そんな時はずっと来ないでほしいのですが・・・。

「釜石湾口防波堤（海洋性研究開発機関）
「三陸を津波から守る湾口防波堤」

釜石市水海（みずうみ）海岸に立つ防潮堤
これは湾口防波堤ではなく、通常方式の防波堤ですが、やはりその高さと規模は周りの風景と比べてもかなり異質です。

釜石市大平町にある釜石大観音
津波による被害者の供養と海の安全を祈願して建立されたもの

大船渡市の碁石海岸から見える、典型的なリアス式海岸
美しく入り組んだ海岸線は、逆に津波の威力を増大させることになります。

結局のところ、津波の被害から逃れる最良の方法はとにかく高台に逃げることだと言います。
東京も東側はいわゆる0m地帯が広がっていますし、今回のスマトラ沖地震と同等の津波が来た場合、六本木付近まで水が押し寄せるのでは、という説もあります（建築物が防波堤となるから、そこまでは行かないのでは、と私は考えていますが・・・）。
その時、私たちは津波からどれだけ逃れることができるのでしょうか。

今月17日で阪神淡路大震災からちょうど10年、新潟県中越地震が起きて3ヶ月が経とうとしています。
そしてスマトラ沖地震。
日本は全く他人事ではないのですね。