すいません、今回は久しぶりにチョー長文(笑)。
前回の記事で予告(笑)したとおり、今回は林芙美子記念館の紹介です。
両親が何気なく話したこの小さな記念館のパンフを見て、「林芙美子って誰」くらいの知識しかないまま(汗)ソッコウで見学に行きました。
いやもう、見てびっくり!今となっては滅多にお目にかかれない本格的な数寄屋造りの住宅でした。
この建物を設計したのは昭和モダニズムの代表、山口 文象(やまぐちぶんぞう)という建築家です。
建築の教科書では、山口文象の名は黒部川第2発電所(社団法人 日本土木工業協会より)と共に紹介されるので、なんだか土木系の人のように見えますが(笑)、純日本建築の名手でもありました。
中でも、この林芙美子邸は本気で見事です。
(とか言ってる私が今まで気づかなかった訳ですが・・・)。
早春の日だまりに佇む数寄屋の家。
ここに立っているだけで「日本人で良かった」と思えます。

敷地には「生活棟」「アトリエ棟」「石蔵」の3つの建物があり、こちらは生活棟。

生活棟の中心にある茶の間。
六畳とそれほど広くはないですが、三方を廊下に囲まれ広々した印象を受けます。
照明器具も山口文象がデザインしたのでしょうか。

船底天井(拝み天井)には矢羽根編(やばねあみ)の「ヘギ板網代天井」が使われています。
これは数寄屋造りにかかせない意匠です。

アトリエ棟にある寝室と書斎のある建物。
こういう純日本家屋は冬が似合いますね。
花がありすぎてもいけない、緑が多すぎてもいけない、枯れた中にひっそり立つ様が美しいと思うのです。
てかね、緑が多い季節は建物が木の葉に隠れちゃって良く見えないのね(笑)。

前の記事で紹介した梅の木のあったアトリエ。
これは北から見たところです。
「さすが!」と思ったんですが、アトリエの窓はこんな風に必ず北向きに作るんです。
窓を北向きにすることで直射日光が室内に入らず、時間によってモチーフ影の向きが変わらないのです。

玄関脇の小さな庭。
上がり框に座るとちょうど良い位置に古い石臼を利用した敷石が。

さて、話変わって。
名建築というのは、初見で「うわ!」と思わせるパワーがあります。
「なあんとなく何が違うのか分からないけど、なんとなく気になる建物だな」と思ったら、それはきっと著名な建築家やデザイナーが関与しています。
ここに来たときに気になっていたのがこの建物です。
林芙美子記念館の裏庭から覗く、異様なほど白く美しいコンクリート打ち放しの住宅。
記念館の古式ゆかしい純日本風の建物とは対照的な、極度なほどのモダニズム建築です。
新旧の対比がすばらしく、どちらも引けを取ることなく、どちらを殺すこともなく、むしろ見事なまでに調和していました。

まだ入居が始まっていない集合住宅のようですが、これはもう明らかに、聞いたこともないような(こらっ)デザイナーズマンションとは違うノーブルなたたずまいですよ。
あんまり情熱をこめて見つめすぎたせいか(笑)管理人ぽい人が警戒心まる出しでこちらを見ていたので、あまりちゃんと写真を撮れず・・。

たぶん、かなり著名な、あるいは新鋭の建築家が関与してるんだろうなと、こっそり建物名を覚えてきました。
そして発見!!
私の鑑定(笑)通り、著名も著名、日本を代表する建築家の設計であることが分かりました。
court decor yonnosaka
槇文彦が審査院長を務めるコンペティション(設計競技)によって、11人の建築家から選出された長谷川逸子(はせがわいつこ)による作品だそうです。
もう、これだけで建築が分かる人には「なにそれ!どんだけ~~!」となりそうですが(笑)、他の10人が誰だったのかも気になるところ。
あー、この建物ね、そのうち何らかの建築賞を受賞すると思いますよ、マジで。
それほど美しい建物でした。
そして価格も超一級!最多価格帯が1億円ですよ、それでも1000万くらい値下げしたそうですよ、あはははは・・・・。
この辺りは超豪邸がウヨウヨ建ってるので、その中ではお買い得物件なのかも知れませんよ、あはははは・・・。
参考:
長谷川逸子
長谷川逸子 - Wikipedia
山口文象が近代建築を代表するなら、長谷川逸子は現代建築を代表しましょう。
長谷川先生はかなり初期からCADを使った設計やプレゼンを始めていて、私もこの人のCAD作品集を持ってるんですが(多分まだ80年代)、今見ると笑ってしまうくらいシンプルな線の集まりでしかないのだけど、当時はそれでもかなり画期的だったのを覚えています。
槇文彦(まきふみひこ
槇文彦 - Wikipedia
槇先生はもうイッちゃってるからいいや(笑)。
有名どころでは、幕張メッセや東京体育館などの一連のカブトガニものと、青山のスパイラル、そして今一番分かりやすいのは、ニューヨークのWTC跡地に建設予定の5棟の高層ビルのうち「タワー4」と呼ばれるオフィスビルでしょうか。
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